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出願中特許

Patent Pending


 

近距離の映像、画像の鑑賞、読書、および高倍率両眼ルーペ観察向け視差縮小眼鏡フレーム

Binocular frame with mirror parts to reduce parallax suitable for viewing visual imagery and reading texts that can mount magnifying or spectacle lenses.

 

特許願/ The Application

要約書/ Summary

図1 システムの平面構造
黒:外枠と骨格
赤:内部枠
青:視野と反射面
緑:レンズの挿入可能位置
赤の矢印は内部枠の移動範囲を示します。
図2 主要部の見取り図、細部や挿入レンズは省略。赤色部は接眼反射鏡をマウントし、平行移動可能な内部枠

基本的に左右対称ですが、図1には異なった要素を左右に分けて図示しています。

説明

[目的と用途/Purpose and usages]

表題の通り、主として近距離の映像、画像の鑑賞と読書の際に使用し、画像情報や文字情報の読み取り能力を高めることを目的としています。ルーペ用レンズを装着することにより、高画質の両眼ルーペとしても使用できます。スマートフォンや書籍、電子書籍などに最適です。

As indicated by the title, this invention is to strengthen and make effective the vision of imagery and reading ability of texts especially at short ranges. Also used as a high quality binocular magnifier by fitting lenses.

 

[使用効果とその原理]

次の4つの効果があります


  1. 高倍率(10倍程度まで)のルーペを両眼で使用できるようになります。
  2. 低倍率のルーペを両眼で使用したときの画質が飛躍的に向上します ― ひずみや色収差などが低下します。
  3. 平面画像(写真、動画)や文字を見る場合の画質が大幅に向上します ― 立体感、臨場感、鮮明度が大幅にUP。
  4. ルーペを使用しなくても面積比で2倍に近い程の大きさに感じられます ― ルーペを使用すると倍率が更に高まったように見えます。

以上の効果は何れも視差を縮小することによって得られるものです。その原理を考察するためにまず、視差というものを再検討してみたいと思います。

一般に両眼視差は立体視そのものと同一視されることが多く、両眼視差がなければ立体視ではないというような理解をされている傾向があるようです。例えば視差による効果を3Dと呼び、視差ではない遠近法効果を「疑似3D」と規定するような論調さえ見受けられます。しかし、それでは、両眼視差を利用できない片目の人はあらゆる周囲の実景を立体的に見ていないのでしょうか? 片眼の人は本物の光景ではなく「疑似光景」を見ているのでしょうか? そんな筈はありません。確かに針に糸を通すことのような、正確に距離を見定める必要があるような作業は困難でしょうが、日常の光景を立体的に見ていないというわけではないことは、片眼をつぶって見さえすれば誰にでもわかることです。それでは写真などの画像を見る場合の平板な感じ、立体感のなさはどこからくるのでしょうか。視差と立体視とを同一視している人は直ぐにそれは写真を見る場合は両眼視差がないからである、両眼視差を利用できないからである、という風に考えがちです。しかし、下図のように、現実に即して(「視差」という言葉ではなく、図面上の図形によって)考察してみれば、1枚の写真を見る場合であっても両眼で見る以上、厳然として視差が存在していることがわかります。

左図、左下の立体Oとその原寸大写真を両眼で見ている状態が中段左右の図で示されています。両眼視差によってできる角度α、β、γを輻輳角度と呼びますが、この図に見られるように、aの位置とcの位置では、実物も写真も、輻輳角度は変わりません。中間のbの位置では写真を見た場合のβ2が、実物を見た場合のβ1に比べてやや小さくなっています。視角にも両者の間に違いが見られます。いずれにしても、つまり輻輳角度においても視角においても、写真を見る場合に視差がなくなるわけでは全くありません。「視差がない」という場合はカメラに視差がないと言うべきでしょう。

この両者における視差の差異、輻輳角度や視角の差異が脳神経や心理的メカニズムにどのように関わっていくるのか?といった事は知る由もありませんが、ただ、原寸大写真を見た時の視差が、写真全体を目から一定の距離を置いた平面として知覚するように働くことは確かです。1つの平面は立体の表面としてのみ存在する訳ですから、平面を平面として知覚することは立体視の一部と言えます。これは視差があるからこそであり、視差によって平面を正確に知覚していることになります。

しかし、人は写真を見る場合でも大抵の場合は立体的な被写体の基本的な形を知覚できるわけですが、これはもちろん視差によるものではなく、遠近法によるものです。従って人は遠近法によって被写体の立体的な形を把握しようとするのに対し、一方では両眼視差によって全体を一定距離(画像平面の距離)にある平面として認識しようとします。従って一般に写真を見る場合は互いに妨害し合うような2つの知覚作用が働く事になると言えるわけです。ですから写真を見る場合は平面を知覚する作用をする視差は無い方が良いのです。ただ、視差を完全に無くすのではなく半分程度に縮小することによっても十分な効果がもたらされることが、今回の試作で確認できています。また視差が完全に無くなるのではなくある程度残っていることによるメリットも確認されています。(Q&A参照)

Q&A

Q: 人間の両目は左右に大きく離れた位置にあり、それによって得られる左右の視差によって、物の遠近感=奥行きを情報として得ています。この発明物は、その視差を故意に人工的に小さくするための装置です。しかし、折角の視差を小さくすることで一体何の利点が生まれるのでしょうか?
A: そうですね。確かに折角の立体視機能を弱めるのは勿体ないような気もします。しかし視差があるということにはメリットと共にデメリットもあります。メリットは対象の正確な距離感が得られるという事ですが、普通の1枚の画像を見るとき、この立体視機能は画像全体が同じ1つの距離に見えるように作用します。ですから画像が紙切れであったり、ディスプレーの画面であったりすることを見破るためには有効ですが、画像に表現されているイメージを鑑賞するためには全く役に立っていないばかりか、邪魔をするわけですね。画面に表現されているイメージは部分部分によって異なった距離を表現している筈です。画像の鑑賞者は見ている対象が紙切れであったり、ディスプレー画面であったりすることを忘れたいのです。ですから、それを距離的ノイズと言っているわけです。
両眼視は立体視機能の一部に過ぎないとも言えます。というのも写真や絵で遠近を判断するときは視差は利用していませんね。いわゆる遠近法で遠近感を知覚しています。
もうひとつは、ルーペを使うような近距離になると両眼の間隔は大きすぎます。ですから高倍率のルーペは片目で使用するのが普通です。この場合は視差を利用できないルーペ観察に対して視差を利用できるようにするという、逆のメリットがあるわけです。

Q: 片眼で見るのとはどういう違いがありますか。
A: 両眼ルーペとして使用する場合のメリットは説明に必要はないと思います。画像を見る場合、視差を取り除くという点では片眼で見る方が徹底しているのは当然なのですが、実際に使用してみると、@両眼を使用すること、およびA幾らかの視差が残っていることによるメリットと感じられる部分が確実にあるのです。メリットを列記すると以下のようになります。
◆視点が左右に偏らず左右の中心になることによる安定感が得られます
◆やはり両眼の視力、観察力を利用できること
◆ルーペ用レンズを使用しなくても、感覚的に面積比で1倍半から2倍程度、大きく感じられます。これはある程度理論的に予想できることです。
◆高倍率のルーペを両眼で使用できることに加え、各種のレンズによる収差を低減するので画質が向上します。

以上は視覚における視差そのものの性質を検討して見たわけですが、次に抽象的な「視差」というよりも、もっと具体的な「瞳孔間距離」という観点から考察してみたいと思います。

人が何かを眺めるとき、対象の距離によって眼のレンズである水晶体がふくらんだり薄くなったりして焦点を調節できますが、両眼の間隔すなわち瞳孔間距離は変えることができません。人は両眼の距離があることによって両眼の視覚像の差異から、すなわち視差によって正確な距離感を得るとされていますが、実用上、人間の瞳孔間距離が有効に機能するような距離範囲は限られています。太陽と月の距離差を見極められないのはもちろん、月と遠くの建物の屋根を比べても距離の差を視差によって見極めるのは不可能でしょう。こういう場合、普通ひとは歩くことによって月と屋根との位置が変化することや、その他のいわゆる遠近法的効果によって距離感を得ています。これは近距離でも同じで、近距離でも両眼の視差だけで立体の複雑な形を把握できるわけではなく、両眼の視差を利用する以前に片目でも基本的な立体の形は認識している筈でしょう。これが更に近距離になると、両眼の視差は邪魔になる場合も出て来ます。針に糸を通すときなどは両眼を使わなければ困難ですが、両眼を使って近距離で作業をするのは非常に眼が疲れるものです。これは、至近距離では両眼の視差が大きすぎるためでしょう。ですから高倍率のルーペを使うときなど、普通片目しか使用しません。宝飾などの非常に細密な作業では10倍以上のルーペを使用する場合が多いですが、この程度の倍率になると両眼で使用することは不可能で、すべて片目で使用しています。

これが実物ではなく画像の場合、近距離で両眼を使って見ることによるデメリットはもっと深刻です。雄大な風景も小さな写真になってしまっては近距離で見ても迫力がありません。しかし一昔前のプロの写真家のように35mm程度の小さなポジフィルムでもライトボックスの上で高倍率のルーペを使い片目で観察すると結構迫力のある臨場感が得られるものです。しかし片目で見るというのは視点が中心から外れるせいか何となくアンバランスな感じで落ち着かないものです。

という次第で、両眼を使用しながら片目で見るように、視差を無くして画像を見ることができれば大幅に臨場感をあげることができるであろうという事が推察できる訳です。

以上は距離的ノイズという考え方によっても説明できるように思われます。近距離で見るほど、眼は疲れますが、距離感が際だってくることも確かです。視差が大きく、輻輳角度が大きいだけに視線を移動するにも大きな精神的な負担が掛かるのではないでしょうか。距離感が正確に表現されるだけに画像を見る場合画像のイメージよりも画像の物理的な表面が目立ってきます。つまり、画面の物理的組織、すなわち紙なら紙の表面組織や印刷の網目といったもの或いは表面反射などです。これらは画像に表現されているイメージにとってはノイズというべきでしょう。ひとが画像を見るときは 2つの全く異なる、素性の違う対象を同時に見ていると言えます。広大な風景を撮った写真であるならその広大な風景が表現されている訳ですが、写真の物理的な表面は非常に近距離にあり、しわになったり、近くの光源がてかてかと光ったりと、頼りなく厚みのない表面でありながら、その表面の存在感が映されているイメージを邪魔するうるさいノイズという訳です。視差を取り除くか、小さくすることにより、このノイズを軽減できるということです。

 

[現在の状況]

以上の様な理由から画像や映像はひたすら大画面化への道を進んできたと言えます。また立体映像の技術開発も進み、かなり実用化も始まってきているようです。しかし一方で小さな画像や文字の使用頻度も増えてきています。携帯電話やモバイル端末がそうですが、書籍も基本的に変わりません。電子書籍になっても大きさは基本的に変わらず、手に持って見たり机上で見たりというスタイルも変わりそうにありません。同時にパソコンのディスプレー使用頻度も増える一方で、現代人の眼の疲労と劣化は進行する一方のように見えます。そこに持ってきて高齢化が進行しつつあります。モバイル機器はパソコンよりも高齢者に向いている面もありますが、画面が小さいということが何と言っても高齢者による利用を妨げている面は否定できないでしょう。

 

[本出願の要点/The point of this application]

筆者はかつて今回のものに似たものを出願したことがあり、商品化も考えたのですが、致命的な欠陥があり、成功しませんでした。その理由として次の二点が考えられました。

1.        原理的にはすでに外国でも日本でも出願があった。

2.        汎用性と実用性のある具体的な設計基準と構造とそのメリットが示されていなかった。

上記の1番目の方は仕方のないことですが、2番目については以後の開発の余地がありました。それは筆者の出願を含め、過去の出願はいずれも視野に関する具体的な記述が乏しく、誰にでも使用できるような条件が示されていなかったことです。筆者の出願では作図によって一応どの程度の視野が得られるかは記載していましたが、それは試行錯誤的に得られたおおよその目安であり、瞳孔間距離の異なる多くに人々に対してどのように一定の視野を確保するかという条件とその条件を実現するための具体的な構造を案出するまでには至っていませんでした。今回はこの点を具体化したものです。すなわち、想定される瞳孔間距離に対して最大の視野が得られる幾何光学的条件、すなわち最大の視野が得られるための反射鏡の角度、瞳孔間距離、各反射鏡の幅、および瞳孔と反射鏡との距離の関係式を求め、瞳孔間距離に応じてそれらの関係式を満たす条件を調節することが可能でかつレンズをマウントすることも可能なフレームの構造を案出したものです。

Formerly, the inventor filed applications similar to this application but resulted in unsuccessful because of some serious defects. Two reasons were assumed as follows:

1. There had been applications based on the same effect and idea
2. In those applications, no effective and universally practical standard and structural design have been presented.

The former could not be changed but for the latter, there had been room for invention. That is, former applications including those of the inventor, have not mentioned or mentioned little about the field of view and no condition in which anyone can use the system has been shown. In the applications of the inventor, the author referred to the field of view which had been obtained roughly by drawings but it has not been optimized at any assumed conditions and the structural design were insufficient to realize those objectives. The relations of variables of the geometrical optics at which optimized field of view for any given pupillary distances such as the angle of mirrors, the angle of the field of view, the width of the reflective area of mirrors, and the assumed distance between the pupil and the mirror have been obtained and the frame structure that can mount mirror parts and attached lenses firmly and correctly and adjustable for any given pupillary distances of certain range was invented.

 

[最大の視野を確保するための条件]

まず諸変数の定義を図3に示します。

Q&A

Q: 具体的に、どういう処を特許申請しているのですか?
A: 1つは最大限の視野を確保するための条件です。これは反射鏡の幅や角度、それに位置関係になります。もうひとつは瞳孔間距離の差に応じて位置関係を調節する機能を含め、光学パーツをマウントするための構造です。

Q: この図と下の数式の意味がよく分かりませんが?
A: この図ではαとかβにて表す角度とAやBで表す長さの定義をしているだけです。また下の数式は結果を示しているだけで、証明の部分は省略しています

Q: 2xというのは下の数式にはありませんが何ですか?
A: 便宜上、無限遠を見る場合を想定して下記の数式を得ています。無限遠ではなく[O]の位置に照準を合わせる場合、対物反射鏡の角度をβではなくβ−x にする必要が出て来ます。この点についてはここでは説明を省略しています。実際の設計には欠かせない要素です。

Q: 視野はどれくらいですか?
A: 机上で60cmくらい離れると中型のディスプレーは視野に入ります。また通常の読書の距離で大型本1ページくらい、文庫本なら低倍率のルーペを使用しても1ページくらい、携帯画面などは低倍率のルーペ併用でも全体が視野に入ります。
図3 左右対称であるため、左眼については詳細図を省略しています

この図において、

視野2α、反射鏡の角度β、βの余角ω、対物反射鏡の有効幅A、接眼反射鏡の有効幅B、瞳孔間距離d、及び接眼反射鏡と瞳孔間の理想的な距離E、これらのあいだに次の関係式が成り立つことを明らかにしました。

図3 にωはありませんが、ωはβの余角で、45度の場合はβと同じになります。






これらはすべて変数ですが、基本的な条件はdEが一定の範囲内にあるような条件を求めなければなりません。そこでまず、一般の日本人の場合βを45度から50度の間あたりに取ることが最適であることを確認した上で(グラフ9)、視野2αが最大になるような条件を考察したところ、グラフ2およびグラフ3のグラフが得られました。グラフ2によれば、眼と接眼反射鏡との距離E12mmの場合、平均的な瞳孔間距離である6.3mmに対してαが約17度、従って視野2αとして34度が得られることが分かります。

Q&A

Q: これらのグラフの意味をもっと詳しく説明して下さい。
A: 何れのグラフでも縦軸は瞳孔間距離を示しています。2点鎖線のそれぞれ2本の横線は、人の瞳孔間距離の取り得るおおよその範囲を示しています。横軸は眼と反射鏡との距離、すなわち眼鏡の装用距離に相当する長さです。縦の2点鎖線は、だいたいこれ以上の装用距離は必要であろうという目安です。
図1はαを一定値に固定した場合にβとして異なった幾つかの数値を用いたグラフです。反射鏡の角度βが20度の場合は完全に上記の範囲から外れています。このグラフの直線が2点鎖線で囲まれた領域の広範囲をカバーしている事が望ましいと言えますが、35度あたりから50度あたりまでがこの点で有利と言えます。しかし顔面に装着するという構造的条件から、普通の日本人の顔であれば45度から50度あたりが最適であると思われます。

グラフ2とグラフ3とはそれぞれ、上記βが45度の場合と50度の場合における視野αを示しています。当然視野が広いほど、すなわちαが大きいほど望ましいわけで、この両図から、何れの場合もαを17度、すなわち視野2αを34度程度に設計すると無理のない構造が得られることが分かります。

上記の数式からこれらのグラフが得られ、2対の反射鏡の幅や位置関係を設計することが可能になります。
グラフ1
グラフ2グラフ3

 

[上記条件を実現するための構造]

上記条件を実現し、一定の範囲内で瞳孔間距離を調節できるようにした構造が図1および図2です。図2では挿入レンズとフレーム細部、鼻当てやループとの接合部などは省略していますが、だいたいの基本構造はお分かり頂けると思います。

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もっと/MORE Q&A

Q: 画質の向上は実際に効果があると言える程の顕著なものなのでしょうか?
A: 実際のところ、画質という表現は必ずしも正しいとは言えないのですが、他に適当な言葉が無いのでこの言葉を使っています。
まず、ルーペレンズを取り付けて使用する場合ですが、この場合は本来の意味で画質が確実に向上すると言えます。それは、視差が小さくなることによってレンズの光軸に近い位置で対象を眺めることになるからです。一般に眼鏡やルーペレンズを通してものを見るとき、多かれ少なかれ、斜めにレンズを通して対象を見ることになります。視差を小さくすることによって、この角度が平均的に小さくなり、レンズの光軸により近い位置から眺めることになります。これによって得られる像の歪みや色収差が軽減されます。これは物理的な画質の向上と言えるものです。
現在、各種の両眼ルーペが販売されていますが、作業用には便利であっても、これで写真を見たり、携帯画面を見たりする人は少ないと思います。それはレンズの収差により、画質が著しく低下するからだと思います。本装置によってそれが大幅に改善されます。

次に、ルーペレンズを使用するしないに関わらず、心理的なメカニズムで画質が向上すると言える面があります。これは上記で「距離的ノイズの除去」と表現しているものです。言葉を換えて表現すると、対象の遠近法的情報を読みとる能力が高まるという事です。これは知覚のメカニズムに関係することなので、実際に体験する以外に確認する以外無いわけですが、基本的には片眼で画像を見ることによってある程度確認することができます。片眼で見る場合と本装置のように両眼で視差を縮小してみることの違いも上記の通りで上記のように理論的に推理することが可能です。最近注目を集めている脳科学にも関わる事かも知れません。

さらに、上記の「距離的ノイズ」による説明とは別に、視差を縮小すること自体による効果を検討してみることもできます。
一般に人は近くを見るよりも遠くを見るときの方がリラックスできるのではないでしょうか。仕事の手を休め、一時の休息を取るとき、大抵、人は遠くを眺めます。その方が眼に負担が掛からず眼が楽なのです。これは視差が小さい、あるいは殆ど無いという事に起因するところが大きいように思われます。視差が大きいときは常に視線を特定の対象あるいはその一部に集中している必要があります。これは可成り眼に負担を強いているのではないでしょうか。その負担が軽減されるとその分が注意力に振り向けられるのではないか、という説明が可能と思われます。
Q: もっと具体的なデータは無いのですか?
A: プロトタイプの試作物を試してみた人々の発言を列挙します ― レンズを使用していない条件下です。(この試作物は角度や寸法、位置が適正ではなく、瞳孔間距離の調節もできないものであったため、使用出来ない人がかなりありました。使用出来た人の殆どは下記に該当する感想を述べています。)
◆ 「立体的に見える。」
◆ 「はっきり見える。」
◆ 「きれいに見える。」
◆ 「すごく鮮明に見える。」
◆ 「大きく見える ― 本当にレンズが入っていないんですか?凸レンズが入っていないとは信じられない。」
◆ 「臨場感、空気感がある。」
◆ 「自然に注意力が働く ― 使用していない時には気付かなかった事に気付く。」
◆ 「注意力を働かせざるを得ない様な心境に引き入れられる。」
* 筆者の言葉で一言で表現すると、「紙やディスプレーの物質感、存在感が薄らぎ、その分だけ逆に画像イメージ自体が持つ遠近法的情報が強く働いて来る」といった印象です。

* 上の発言を分析してみます:
【なぜ立体的に見えるのか】「立体的に見える」という印象は、遠近法的情報がより効率よく邪魔されずに作用していることを示していると言って良いと思います。【なぜきれいに見えるのか】その後に続く「はっきり」、「きれいに」、「鮮明に」、見えるという印象は、もちろん上と同様に遠近法的情報とも関係がありますが、何よりも紙やディスプレーの物理的表面、物質感といった邪魔者、すなわちノイズが小さく、少なくなった事を示しているといって良いのでは無いでしょうか。ノイズという表現が適切であることを示していると思います。【なぜレンズ無しでも大きく見えるのか】「大きく見える」と言う事は、次の様に説明できます: 一般に遠くのものが小さく見えることは誰もが気付いていることですが、しかし、実際に眼に映る大きさに比例して小さく感じているわけではありません。ある人物と同じ位の体格の人物が最初の人物の2倍だけ離れた距離にいる場合、眼には長さ、つまり身長や横幅が半分に映っているはずですが、感覚的にそのように感じるでしょうか。そんなに小さくは見えていない筈です。ただ、片眼をつぶって注意して比較しながら、しばら見続けると実際にそれくらい小さく見えてきます。このように両眼で見ている場合、遠くの対象は実際に眼に映る大きさの割りには比較的に大きく感じられるものです。これには視差が小さいという事も関わっている筈です。つまり視差が小さくなると全体に対象が大きく感じられるようになるものと考えられます。これは観察力にも影響をあたえているものと思われます。
Q: 長時間の使用で眼が疲労することはありませんか?
A: 眼の状態は、基本的に双眼鏡を見ているときと同じですので、双眼鏡を楽に見られる人であれば楽に見ることができます。双眼鏡との違いは対象の距離によって輻輳角度が若干異なってくることです。これは製造時の設計精度と調節の技術に関わってくることですが、多少目的の距離よりも多少遠方に照準を合わせる事によって、双眼鏡を見る場合よりも自然な状態に調節することは可能です。
上のQ&Aと多少重複しますが、一般に遠方を見ているときはリラックスして対象を眺めることができるものです。これは1つには視差が小さいことが起因しているように考えられます。以上の様な状況で、不自然といえば不自然ですが、最近の3D映画やテレビなどの立体映像に比べて眼の負担が増加するような不自然さは無いと言えます。
Q: 瞳孔間距離の個人差をどのように調節するのですか?
A: 見にくいかも分かりませんが図2の接眼反射鏡は、外枠である上下のプレートに挟まれた小さな内部枠に取り付けられています。この内部枠を溝などのレールに沿ってスライドさせることによって調節します。ただし、調節可能な範囲は限度がありますので、すべての瞳孔間距離に対応できるように製品化する場合には3通りほどの大きさを用意する必要があります。
Q: 表現が難しくて今ひとつ分かりにくいのですが?
A: 申し訳ありません。視覚体験という、文字や図で表現することの困難な内容の心理学的な説明になってしまいますので、どうしても表現が難しくなってしまいます。一頃よく使われたクオリアに関わる問題ともいえます。チャーマーズという高名な哲学者はクオリアの一例として視覚における色彩とともに奥行き感を挙げてるそうです。
Q: 近視や遠視、乱視などの眼鏡をかけている人は?
A: 眼鏡の上から使用するのは不可能でもありませんが、ある程度のハンディが生じる事は確かです。
基本的に近距離を見るためのものですから、近視の人は眼鏡を外して使用できると思います。ルーペレンズを取り付ける場合はなおさら眼鏡は必要ありません。老眼の場合も基本的にルーペの倍率を適度に選択することで対応できます。しかし乱視の場合、あるいは強度の近視の場合で、ある程度離れた距離の対象を見たい場合には視力矯正用レンズが必要になってきます。理想的には眼鏡用レンズをカットして挿入するのが望ましいのですが、こうなると眼鏡屋さんの協力を得る必要が出て来るように思われます。
Q: ルーペの倍率はどの程度まで可能ですか?また挿入方法は?
A: 10倍程度までが限度と思われます。ただし、これは使用者の視力によっても変わってきます。視力の高い人、遠視の人などの場合の方が高い倍率まで取り付けることが可能になります。高倍率のルーペは大きさが小さいこともあり、図1の6か7のところに挿入します。低倍率のルーペもここで良いのですが、8の位置では視野を広くとることが出来、2つを一体成形にすることも可能と思われます。すべての場合で最も実際的な位置は7です。
ルーペレンズは必ずしも本体に取り付ける必要はなく、手持ち又はスタンド付きの大型ルーペを使用したり、本体に取り付けたルーペと併用することもできます。
Q: 幾つかの用途に分かれるように思いますがどの用途をメインに想定しているのですか?
A: 携帯電話やゲーム機、それに文庫本の様な小型書籍や写真など、小画面の画像や文面を想定して、低倍率のルーペを装着した形で利用するのが最も需要を喚起できるように思います。パソコンのディスプレーや中型テレビ、さらに大型本に対して使用する場合は基本的にルーペの装着を必要としないので、付加価値が少ないような印象を持たれるかも知れません。ルーペに付加価値を付けるという考え方もできると思われます。
Q: 画像ソースの性質によって効果に差はありますか。例えば解像度、あるいは静止画像と動画のような?
A: 一言で言って遠近法的情報が多く含まれているソースほど効果が大きいと言えます。その意味でもちろん解像度が高いほど効果は大きいでしょう。また静止画像に比べて動画では更に効果が大きいと言えます。これは普通の映画やテレビでも経験することですが、動く画像では静止画像に比べて遠近法的情報が遙かに多く含まれることから当然予想されることですが、実際試作物によってもそれが確認されています。